「質問すること」がコーチングじゃない
本日は「コーチング」の話しです。
誤解の多いコーチングについて語りたい事があったので語ります。
ご興味のある方はお付き合いください
先日残念な光景に出会いました。
企業研修で次の出番を待つために会場の後方でスタンバイをしていた時です。
あえて言わせてもらいますが”自称プロコーチ”がコーチングについて講義を始めました。
「コーチングは質問のチカラで相手を目的地に導くことです」
「質問のチカラで相手の行動を促すことです」
「ここに質問リストがあります。これを使えば誰でもコーチングができます」
「部下に質問をしてください。彼らの中にある答えを引き出してください」
一見まともそうに見えますがこんなやり方をすると部下はコーチングを大嫌いになります。
部下は質問されることを期待なんかしていません。
なぜ質問されるのかも理解していません。
きっと質問に答える地獄のサイクルに落ちてしまいます。
上司と部下の関係が「質問する人」と「質問される人」の関係になってしまいます。
質問をすればそれがコーチングだという誤解があるからです。
本日のメッセージ
1.お互いを深く理解し合うのがコーチング
以上1点です
何事も相互理解から始まるのが職場
先ほどの講義で何が一番問題なのか?
・コーチングされる側が無視されていること
コーチングは人の役に立つためのコミュニケーション手法です。
問題解決のスキルではありません。
企業内にコーチングが導入される時に、リーダーが持つべきスキルの一つとしてコーチングが安易に語られています。
職場改善ではもっと大事な事があります。
人のやる気を引き出したり、良好な人間関係を構築するために最初に必要な事は何か?
「お互いを深く理解し合うこと」
何よりも大事であり最初にやるべき事です。
そのためには色々と質問をする必要があります。
本物のプロコーチが最初に時間を掛けてやることは、この「相互理解」です。
この「相互理解」の最大のメリットは
・自分自身への理解が深まること
だから「気付き」が起き「行動変容」が起こるんです。
コーチの質問で行動が促進されるのではなく、コーチの質問で自分自身への理解が深まることで行動が促進されるということを理解しているのが本物のプロコーチです。
だからコーチ自身も自分について新たな気付きを得ることが多々あります。
それほどに自分自身を深く理解することは難しく、終わりのないテーマなんです。
コーチングは質問リストがあれば誰でも簡単にできることではありません。
一方的に相手(クライアント=職場では部下)を質問攻めにしてはいけません。
コーチとクライアント(職場では上司と部下)が一緒になって、自分と相手を互いに深く理解していくのがコーチングです。
コーチングの入り口で大切なことは
「相手の事をもっと知りたい」
「自分自身の事も知りたい」
と思う気持ちを自分の中に醸成することです。
だから簡単じゃないんです。
”自称プロコーチ”の指導で質問リストを使って部下を質問攻めにするのだけは避けてください。
本日も最後までお付き合いいただき
「ありがとうございました」