職場でのコーチング(報告を生かす)

コーチングのチャンスを作る

今日も、いつものメッセージから始めさせていただきます。

「職場にコーチングを導入するには工夫が必要です」

なぜなら、部下はコーチングを知らない、ましてやコーチングを望んでなどいないからです。コーチングを望んでない人にコーチングをすることは意味が無いどころか、時間の浪費になりますから、むしろ害になります。でも

「職場でのコーチングは100%有効に機能します」

うまく導入すればコーチングは必ず職場に良い成果をもたらしてくれます。

今日のテーマは

「報告を生かしてコーチングする」

職場でのコーチング活用で一番苦労されるのが、コーチングの場面作りではないでしょうか。わざわざコーチングセッションの時間を取るのは大変です。

そこで考えるべきは、すでに存在している日常の会話の中から、コーチングに使える会話を見つけることです。

コーチングの目的は

「ゴールに向けて行動を変容、促進する」

ことですから、これからの事についての会話はコーチングの対象になりやすいです。

選び方の基準は

1.ゴールと期限が共有できている

2.部下が自分で意思決定する時間的猶予がある

3.部下の成果に繋がる内容である

この3点が良いと思います。クレーム対応で今すぐ返事をしなくてはいけないときに、部下に問いかけていたらお客様が激怒します。ヘタするとネットで大炎上にもなりかねません。

また、任せても問題ないけど大した案件でないものも適しません。部下がにとって達成感が味わえないからです。例えば来週の会議用の資料に何部予備を用意するか?などは、さっさと決めてしまう方がお互い効率的です。

一番適した内容が多いのが

「業務の中間報告」

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中間報告は部下をコーチングする絶好の機会

だというのが、経験上からお薦めできる業務です。”中間”ですよ。完了した業務の報告にしつこく質問するのは責任追求になりますから”中間報告”を活用してください。

そのためにも、日頃からやっておくべきこととして

「中間報告を部下に求める」

という行動です。部下にとっても頭のなかを整理できるなど、何かメリットがあれば積極的に報告に来るようになります。この行動を繰り返し取って下さい。そこでコーチングが使えます。

聞く

中間報告の場面での活用するコーチングスキルは

「聞く」

です。まずはしっかりと部下の報告を言葉通りに受け止めてください。

部下が報告してくれている時に、やってはいけないことは次のことです

1.部下から目をそらしたり、違う作業を同時にしないこと

2.先入観を持って聞かないこと

3.イライラして途中で遮らないこと

4.先に答えを出さないこと

いかがでしょうか。実際にやってみると想像以上に難しいです。訓練が必要です。コーチングは習っただけでできるようにならないんです。でも実践を積めば必ずできるようになります。だからすぐにうまく行かなくても、気にすること無く続けて下さい。

なぜ”聞く“のが大切かというと

「自分の話しを一番真剣に聞いているは自分」

だからです。”オートクライン”という専門用語になりますが、自分で話しながら自分でその内容について解釈している、ということです。

「人に教える度に自分がうまくなる」

という話しを聞かれた方もいると思います。人に話すのが自分にとっても考えたり学ぶ機会なんですね。

ちゃんと聞いてくれる人に対して、人は全力で伝えようとします。それは同時に自分にも全力で伝えているということです。

問いを残す

部下の報告を最後まで”聞いた”ら次に何をするかです。それは

「問いかける」

ことです。この時大切なことは、これまでも何度もお伝えしてきていますが

「部下のためになる問いをする」

という意識をしっかりと持ち続けることです。部下が”中間報告”をして良かったと思う時はどんな時か?という問いについて考えてみていただければと思いますが、

「現状を共有することができた」

「頭のなかが整理できた」

「悩みを解決する糸口が見つかった」

時など自分にとってプラスと感じる出来事が起きた時に、部下は良かったと思います。

ですから、上司として知りたい事をどんどん質問したりするのは避けて下さい。知りたいことがあれば質問するのは問題ありませんが、それだけで終わったり、その後に指示・命令をして終わりにしないで下さい。

ではどんな狙いで「問いかけるか」ということですが

「部下の頭の中に問いを残す」

ことが狙いです。後で考える必要がある”問い”ということですね。例えば

「あと何を準備できれば完成なの?」

「どんな順番でプレゼンするの?」

「どんな危険が潜んでいると思う?」

などが考えられます。もちろんもっともっと沢山部下のためになる“問い”はあるはずです。

一旦その場で答える部下もいると思いますが、自分に役立つと感じたら”問いを持ち続けて”何度も自問自答をするようになります。

大事な事は、部下が

「あの時上司から聞かれた、あの一言で助かった」

という状態にすることをイメージすることです。人は思い込みを持ちますので、抜けもれなく完璧な準備を一人でできる人は極めて少数です。一旦外に出して、周囲からの反応を利用して中身を完璧に近づける方が効果的です。そうなるような”問い”をしてあげてください。

部下に成功体験をしてもらう

こうして上司が指示・命令をしたりせず、部下の考えと決断に任せる理由は

「意味のある成功体験」

をしてもらうためです。よくある例として、お得意先や他部署・経営幹部の前では

「この部下は本当に優秀なんです」

と褒めておいて、後で

「な、俺の言うとおりしたらうまく行っただろ」

と、成功した要因を部下から奪い取ることです。これは絶対にやらないでください。部下の”やる気“”自信”が急降下します。

意味のある成功体験に必要な事は、

「自分のチカラでやり遂げた」

と感じてもらうことです。たとえ実際には上司や先輩、同僚の助けを沢山受けての結果であっても、そう感じることで”自信”を付けて次へ前進してくのが部下です。この成功体験を一人でも多くの部下に一度でも多く味わってもらうために”中間報告””問いを残して”部下に考える機会を増やしてあげるのです。

「部下の成功のために何を問いかけるか?」

これが上司である皆様への問いです

最後に”中間報告”を活用する業務の選択を間違わないようにしてくださいね。くれぐれも”緊急度が高い”業務や”作業レベル“の業務で問いかけないで下さいね。

 

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