職場でのコーチング(目線を合わせる)
目線を生かす
毎度、お決まりの宣言から始めさせていただきます。
「職場へのコーチング導入には工夫が必要です」
コーチングが機能する大原則は
「クライアント(部下)がコーチングを求めている」
「クライアントがコーチングを活用して実現したいゴールを持っている」
時になります。しかし、実際にそんな職場は殆ど存在しないと思います。
部下は”コーチング”を知らない、だから当然期待もしていない。
そして上司のコーチングスキルは、いまだ未熟である。
でも、
「コーチングは職場作りに100%有効です」
ということで、
今日は上司と部下の職場での対話の場面において”目線を合わせる”
という行動でコーチングを生かす方法をお伝えしたいと思います。
職場でのコーチングで”目線を合わせる”とはどういうことかというと
「対話する時に目線を水平にする」
「対等な関係を作る」
ということです。
この行動を上司がとることで、部下が安心して話せる環境を作る。
コーチング的に言うと”セッティング”をする、ということになります。
目線の合わせ方によって何が違ってくるか?それは
「部下が話す中身」
「部下の感情」
「部下から見た上司との関係」
に違いが出てきます。
例えば上司は自分の席に座っている、部下はその正面に机を挟んで立っている。
この状況をイメージしてみてください。
どちらが優位な状況にあると思いますか?
明らかに上司ですね。
その時、部下はどうするか?
「必要な事だけ、言葉を選んで話す」
「早くこの場から去りたいという感情が生まれる」
こんな事になりますよね、
これはお互いにとって良くない状況ではないでしょうか。
・上司は部下の本音を聞くことができない。
・部下は話したいことを話せない。
・上司と部下の関係は上辺だけの冷めた関係となる。
なぜか?
「上司の目線が部下を下から見上げているからです」
あるいは
「上司の目線が部下を上から見下ろしているからです」
目線はそれほどにチカラを持っていますので、意識する必要があります。
上司が部下を見下ろす、いわゆる”上から目線”もいいことはありません。
この点については過去のブログを参考にしていただけると大変嬉しいです。
部下と対話をするときに、この”目線が水平になる状況”を作るだけで、
部下の話す内容も、お互いの関係性も良い方向に変化をしていきます。
なぜなら、部下は安心感を感じて、自分が思っていることを、
落ち着いて話すようになるからです。
上司は部下について深く理解をすりことができますので、
一緒に仕事をしやすくなります。
そして、お互いの関係は”信頼”へと向かって加速をしていきます。
目線で信頼を築く
“信頼”の大切さについては、また改めてお伝えをしたいと思いますが、
きっと皆様は日々実感されていると思います。
「他の人には話していない事まで話す」
「相手のために自分の能力を発揮する」
「相手のために時間やスタミナを惜しみなく使う」
こうした事が“信頼”によって引き出されます。
こうした行動が溢れた職場をイメージしてみてください。
毎朝、行きたくなりますよね、きっと。
コーチングで”信頼”を築くために大切だとしているものがあります。
「安心」「安全」「尊敬」「正直」
という言葉です。
これらの状態にあることを相手に実感してもらうための手段の一つが
「対等な関係を作る」
です。そしてこの”対等な関係”になっているかどうかの
チェック要素が
「目線が水平になっているか?」
となります。
このポイントを意識して実践をしていただければ
それだけで部下の行動は促進されます。
発言内容も変わってきます。
目線を水平にする方法
では、どうやったら”目線を水平”にして”対等な関係”を作れるでしょうか?
・自分の席の両側にイスを置く
・部下が来たら、まず最初にどちらかのイスに座ってもらう
これだけです。これだけで職場でコーチングが機能します。
両側にイスを置くのは、人によって話しやすい位置関係が違うからです。
上司の左側に座るか、右側に座るかで話す勢いに違いが出る人もいますので
是非両側にイスを置いて好きな方に座ってもらうようにしてください。
ちなみに、対話の時は“正面に向き合うのは避ける”のが鉄則です。
これは対立を引き起こしやすい位置関係だからです。
ましてや間に机を挟んだりしたら
お互いに身の安全を確保するための防御対策ができているような状態ですから
更に攻撃的になるリスクがあります。
正面に向き合うのは、できるだけ避けましょう。
この件についても別の機会に触れたいと思います。
話しを戻しますが、自分の両側のどちらかに座ってもらい、
目線を水平にした状態が作れてから対話を始めます。
部下はきっと”安心”で”安全”な状態であると感じてくれるはずです。
心の障壁が一気に下がり、思っていることを沢山話してくれますので
本音レベルで部下を理解することができます。
またそんな状態でしか手に入らない情報も手に入るかもしれません。
「目線で信頼を築いてみてください」
部下を主役にする
最後に
職場でコーチングを機能させることが目的ですから
忘れないでいただきたいのが
たとえ報連相であっても
「部下が主役」
であることを意識することです。
横のイスに座ってもらったからといって
厳しい表情で睨みつけたり、叱責や責任追及の言葉を連発してしまっては
何の意味もありません。
自分が知りたいことだけ聞いて、部下を追い返したりしないで下さいね。
職場でコーチングを生かす目的は
「自発的に責任感を持って行動する」
部下を育成し、
「チームワークを最大化して成果を出す」
組織にすることです。
成果は部下の積極的な行動によって生まれるのです。
部下の行動を促進するために上司はコーチングを生かした対話をするのです。
せっかくのチャンスを逃さないためにも、部下を主役にしてあげてください。
部下に敬意を示してあげて下さい。
・イス2つと目線で職場を活性化する
是非、トライしてみてください。
ある日、今まで見たことのない
部下のイキイキした姿を見ることになるはずです。