職場でのコーチング(挨拶を生かす)
挨拶の意味
職場でコーチングを有効に活用することはとても難しいです。
ビジョンを持って仕事をしている人、コーチングを知っている人がとても少ないからです。
そんな中でコーチングを学んだリーダーの方に、職場での活用方法をご提案します。
それは
「挨拶でコーチングする」

部下のやる気を引き出す”挨拶“をできるのが職場でコーチングを生かす上司が手に入れるべき技術
です。昨日も触れたテーマですが、改めて”日常の挨拶”と”コーチングの挨拶”の違いを確認しましょう。
”コーチングの挨拶”が意味することは
1.「承認をする」
2.「信頼関係を築く」
3.「行動を促進する」(上級編)
ということです。”日常の挨拶”は”マナー”や”礼儀”です。新入社員が研修で受けるマナー研修などで教わる”挨拶”とは全く意味が違います。ひとつずつ意味をお伝えしていきます
1.承認する挨拶
まず、”承認”するために”挨拶”をするとはどういうことでしょうか?
それは、部下に対して
「あなたは職場に欠かせない大切な存在です」
という”メッセージ”を伝えることです。この”メッセージ”が確実に部下に伝わるような挨拶の仕方を考えて実行してください。
私なら、
①自分から部下の方に近づいていき
②笑顔でしっかりと目を合わせて
③名前を”さん付け”で呼びながら挨拶する
と思います。”名前”は凄く大切です。親しい間でも”~さん”と呼んであげることで、部下の”所属感”は高まり”安心”が心に広がります。これがコーチングにおける”承認”です。
自分がこの職場の一員であるという認識が部下の心の中で高まるかどうか、がポイントです。
2.信頼関係を築く挨拶
”承認”のための挨拶に一言付け加えることで”信頼関係を築く”ことができます。
職場にコーチングを持ち込む時に失敗する一番の要因は”信頼関係を築く”ことを改めて実施しないでセッションをしたりすることです。コーチングでのコミュニケーションは日常会話とは違います。なので日常会話をコーチング型コミュニケーションに変える必要があります。このステップを丁寧にすることで、上司と部下としてではなく”コーチとクライアント”という関係も自然に築かれます。ここすごく大切です。
ちょっと、脱線しましたが”挨拶”で信頼関係を築くとはどういう意味かというと
「私(上司)はいつでもあなた(部下)の話しを聞く準備があります」
という”メッセージ”を伝えることです。なので、答えを期待せずに”挨拶”のあとに何か”一言”添えるのがポイントです。
「今朝の気分はどう?」
「今日はどんな日にする予定なの?」
「今、何を考えてるの?」
こんな言葉を私なら使って、一言付け加えます。
とても大事なことは、絶対に話してくれたことを否定したり、自分の考えを押し付けたりしないことです。
「そうなんだ」
「じゃあ、今日もよろしくね」
「話してくれて、ありがとう」
のように、”挨拶”を終えることです。コーチングでは”完了する”という言い方をします。
上司は、部下全員と”挨拶”をする必要があります。そのためには目的を最短の時間で達成する工夫が必要です。誰かと話しこんでしまうと、別の部下が出社してきた時に、今話している部下との対話を中断することになります。そのまま放置すると、部下は”未完了”の状態にされてしまいます。これすごく嫌な気分になりますので気をつけて下さい。“挨拶”では一言添えることでメッセージを伝えることが目的であることを忘れないようにしましょう
3.行動を促進する挨拶
このパートは上級編となります。またケースバイケースであったり、どれくらい時間が使えるかによりますので、まずは”挨拶”を”完了”し、そのまま引き続き対話ができそうであればやってみると、凄く効果が高い”挨拶”になる技術です。
どんあ言葉を活用するかというと
朝であれば
「今日一番重要な仕事は何?」
「どんな障害が起こる可能性があると思う?」
「今日のキーマンは誰だと思う?」
など、部下が今日一日の仕事を効果的に効率的に進めることができるような考えや気付きができる”問いかけ”をする言葉を使います。問いかけられた部下は、その瞬間はうまく答えられないかもしれませんが、記憶に残りますので、この問いを意識して仕事をすることになります。問いが有効であれば、部下はうまく仕事を進められるはずです。
夕方の方が効果的なことが多いと思いますが
「今日は何ができたの?」
「朝の思いと今の思いはどう違う?」
「どんな工夫が必要だと感じた?」
「どんな気付きや学びがあった?」
という一日を”振り返る”機会を提供する問いの言葉を使います。決して”反省”や”批判”とならない問いになるように注意をしてください。部下が一旦立ち止まって一日を振返り、明日に繋がることを考えるきっかけを作るのが目的です。
これ、実は“部下の主体性”を引き出すのに物凄く有効な技術です。人の行動には意外と切れ目がありません。次から次への無意識の内に行動を繋いでしまいます。こうなると、自分がその瞬間、どんな”意思決定”や”選択”をしたかを意識しないままになってしまいます。これではいつも通りの行動が繰り返されてしまいます。行動を変えたり、増やしたりするには、自分の認識と意識した”決定と選択”が必要です。その機会を提供するのもコーチの役目です。
是非、この一日の終わりに”挨拶”がてらに一言“問いかけて”あげてください。
ビックリするほどに部下は主体的になっていきいますよ
4.コーチングとしての挨拶の主役
最後に絶対に意識をしておかなくてはいけないことをお伝えします。
コーチングとしての”挨拶”は
「部下の行動を促進するためにする」
「部下にメッセージを送るためにする」
ということを忘れないことです。ただ、”挨拶”をすれば良いというものではありません。上司から部下への”挨拶”によって、その後の部下の行動が促進されてこそ”挨拶”をしたことになります。”信頼関係”が高まってこそ”挨拶”に意味が出ます。
そのためには
「良く部下を観察してください」
「記録を付けて下さい」
”挨拶”の後、部下がどのような行動や発言をしているかをしっかりと観察することで、”挨拶”が機能したどうかが解ります。うまくいっていれば、部下の表情が笑顔であったり、やる気に満ちた表情になったり、すぐに何か行動を起こしたりします。
また、誰に”挨拶”をしたかを記録することも大事です。実際にやってみると、毎朝全員と”挨拶”をすることは難しいです。更に難しいのは帰り際の”挨拶”です。自分が先に帰る日は部下一人ひとりに声を掛けるの難しいですから。
だからこそ、今日は誰と“挨拶”しかかを記録して、“挨拶”できていない部下がいたら、数日間は必ずその部下と“挨拶”することを優先する、などの行動をとり、全員と公平に接するようにしてください。
「部下は上司の行動をしっかりと見ています」
「部下は上司の自分への接し方で勝手に自分を評価します」
悪気なく”挨拶”の頻度が少ない部下が出てしまうのですが、それに気付かないままでいると、その部下は
「あの上司は自分を認めていない。嫌われているんだ」
「この職場で仕事するのは嫌だ」
となってしまいます。本当にそうなります。
「部下のために挨拶する」
「部下と信頼関係を築くために挨拶する」
「部下の行動を促進するために挨拶する」
是非、この実践をされてみてください。
職場でもコーチングは有効に機能する、職場へのコーチングの導入の仕方が解ると思います。