研修の主役は誰?
研修の目的と成果
新入社員が入り職場にも変化が起きている季節だと思いますが、この時期にたくさん行われるのが企業研修ですね。ただ、その目的と成果の確認方法まで考えて研修を設計しているケースは多くないと感じています。
「研修の目的と成果は?」
参加対象者が実務でこれまで以上の成果を出すために必要な知識・スキル・体験を提供し、研修後に実務で研修内容を生かして成果を出す。
これが研修の目的であり、研修の成果は参加者が研修後に出した実務でのこれまで以上の成果、ということだと思います。
であるならば、研修の設計時に常に意識するべきことは、
「この研修が参加者のどんな成果出しに役に立つのか?」
「参加者は実務のどの場面で学んだことを活用するのか?」
ではないでしょうか。
更にいうと、研修で軽く扱われているのが
「アフターフォロー」
だと思います。
その時は学んだ気分になり、何かを手に入れた手応えがあるものですが、翌日に職場に戻って現実を見ると、研修のことをすっかり忘れてしまう。
つまりは研修と実務を結び付けられないケースが多いと思います。
実務場面を想定した研修内容と「アフタフォロー」を事前に想定しなければ、参加者の成長には貢献できないのが研修の難しさです。
中身や講師を誰にするかを検討する前に、
「研修の目的」
「期待する成果」
「アフターフォロー施策」
を明確にすることを忘れないでもらいたいです。
成果が出るまでフォローし続ける覚悟と設計を研修担当者の皆様はしないといけない、と強く感じます。
参加者のための研修
研修でもっとも大切なことは
「参加者のために準備・実行・フォローする」
「研修の主役は参加者」
参加者が持っている課題や上司の期待を事前に良く把握をしておくこと。
実務での活用を想定した中身の準備と当日の進行が大事です。
参加者が実務のどんな場面で研修で学んだことを生かすか、をイメージできないと有益な中身は作れません。
当日の参画意欲や活用意欲も高まることはないでしょう。
参加者のための研修を設計するためには、参加者を良く理解することが大事です。
「参加対象者に直接ヒアリングされてますか?」
呼んではいけない講師
企業で様々な研修を設計した経験、実際に社内研修で講師役を務めた経験、そして自らも外部のセミナーやワークショップに参加した経験から、以下のような特徴を持った講師は参加者に何も残さないリスクが高いと思います。
①豪華なテキストを用意して、その説明だけする講師
・テキストが大事ならそれだけ貰えば十分です。集まる理由がありません。
②プレゼン資料が大量な講師
・一方的に伝えるだけで終わるつもりです。「何か質問は?」で理解できますか?
③上から目線の人
・自分の凄さを伝えたいだけです。参加者を支援する気がありません
④事前の打合せに来ない人
・参加者に興味がありません。シナリオ通りにしかできない講師です
だいたいこんな感じです。
参加者よりも自分の実績や経歴・資格を意識している講師には要注意です。
自分が本当にお役に立てるかどうかを強く意識している講師に依頼しましょう。
事後アンケートが何よりも大事
研修が参加者の役に立ったかどうか?は事後のアンケートの中身で明確に判ります。
特に自由記述欄のコメントを見れば一瞬で知ることが出来ます。
事後アンケートは「研修」が参加者の役に立ったかどうかを知るために行うものですから、研修担当者が自分の手で作るべきです。
決して研修会社や講師から提供されたものをそのまま使用しないでください。
研修をする側の視点での質問項目が多く、回答する人が答えに悩むような意味不明の設問がよくあります。
「研修参加者のための事後アンケート」実施
で、改善点や今後のフォローの工夫に役立てるのが正しい事後アンケートであり、良い研修の条件です。
こんな質問を入れるようにすると良いと思います
「あなたは自己成長課題のどこにこの研修を生かしますか」
「実務で、いつ、どんな場面で、この研修内容を活用しますか」
「いつ、何の業務で、どんな行動を取りますか」
「自分の業績にどんなプラス効果が出ると想定していますか」
研修の成果を共有する
最後に、数カ月後になるとは思いますが、参加者が実務で研修内容を生かして成果を出したことを確認して、参加者の直属の上司や関係する部署に共有をすることを忘れないでもらいたいです。
特に参加者の上司にすれば、忙しい実務を中断して研修に部下を送り出しているわけですから、研修が自部署の成果に結びついている、部下の成長に役立っているという認識をしっかりと持ってもらうことが、研修担当者の背中を押すことになるといつも感じています。
「研修は参加者の成長と成果出しに役立つためにある」
この気持をどんなに忙しくても忘れないでいただきたいです。