提案営業は誤解されている

「我が社も提案営業をしたい」

こうした相談や依頼が多いことに最近驚いています。

そして、もっと驚くのは提案営業を誤解されていることです。

目の前にいる商談相手の聞き役となり、商談相手が実現したいこと、解決したい問題を聞き出して解決策を提案する。

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買ってもらう場面の事実を知らずして提案営業はできない

これは確かに提案営業です。では何を誤解しているのか?

1.聞けば目標や問題・課題を話してもらえる

2.営業セールスの意識を変えるだけでできると思っている

3.すぐにできるようになると思っている

これらの誤解があるために、ただ方針として提案営業を目指す、という言葉が出るだけで本当に実践するための覚悟も準備も何もされていないからできないのです。

商談相手の多くは悩んでいます、混乱していています。ただ聞いたぐらいで、あれこれと要望やリクエストを話してくれることはありません。それが判らなくて困っているのですから。

こちらから有益な情報や、気づきにつながるレポートを提供するのが実は先なんです。

だからこそ提案営業には必要な「ツール」「やり方」「サポート」があります。これらを会社が準備しないで、営業の皆さんに掛け声だけかけても提案は実現しません。提案ができないからです。

更に提案営業は売り込み営業と「考え方」そのものが違います。プロセスも違います。急にできるようにはなりません。安易な値下げなどを排除しないと提案営業にならないので一時的には業績にマイナスインパクトを与える可能性もあります。

できるようになるまで耐えて待つ覚悟がない会社には絶対に導入できません。

提案営業は営業革新です

提案営業に必要なこと

では、提案営業ができるようになるためには何が必要なのでしょうか?

1.三方よしの精神

2.購買者接点情報

3.営業支援ツール

4.営業サポート体制

この4つが揃わない限り、提案営業は実現しません。

1.三方よしの精神

営業モデルにより違いがあるかもしれませんが、この精神を全社で共有できていないケースが殆どです。

売り手=自社

買い手=お得意先

世間=購買者=お得意先のお客様

この三方がみんな得をすることができるのが提案営業の大原則です。どんな企画もこの精神から外れてはならないのですが、現実はどうでしょうか?

売り手の都合を再優先しているケース多いのではないでしょうか。あるいは目先の売上を優先するあまり、買い手だけが得をする企画になっていることはないでしょうか。自社の利益や商品価値を毀損するような企画提案をよく見かけます。

三方よしを崩してはいけない、というルールが社内で徹底されているでしょうか?

企画提案書のフォーマットに三方のメリットが記載するようになっているか確認してみてください。本気度がすぐに判ります。

2.購買者接点情報

提案営業ができない理由で一番多い原因がこれです。

「どの商品がどのお店で何個買ってもらえているか?」

「どの商品が何店舗で実際に売場に並んでいるのか?」

「今どんな状態で売場に並んでいるか?」

これらを簡単に見える形にすることができているしょうか?多くの会社はできない状態です。

購買者と自社の商品やサービスが出会う場面を見える形やデータにしないで「世間よし」かどうかをどうやって判断するのでしょうか?

・購買者接点で起きている事実を知る

これが提案営業の最大のポイントです。ネット販売がどんどん浸透していくのは、ここを徹底して分析して改善しているからです。リアル店舗を経由して購買者に商品やサービスをお届けするスタイルの会社がここをやらなければ成果は出ません。買い手であるお得意先様の業績に貢献もできません。

購買者接点を見える形にする手段を必ず用意することがカギです。

3.営業支援ツール

提案営業をするためには、データを活用して問題解決のための課題発見をすることが求められます。

しかしながら、ここも営業に丸投げのケースが本当に多いです。そして営業のやるべき仕事がどんどん増えていき、気が付くとお得意先に訪問する時間が減っている、という本末転倒な事実が報告されます。

ITを活用して提案営業を支援するツールを用意しないと絶対に提案はできるようになりません。問題や課題をデータでお得意先にお見せできないからです。

お得意先がなぜ悩んでいるのか?

それは本当の課題が発見できないからです。そこを提案するのが提案営業です。だからお得意先から信頼されるのです。

そして提案で大切なことは「説得力」です。「データ」は「説得力を高める武器」です。しっかりとした武器を用意してください。それなしでは提案営業はできません。

4.営業サポート体制

今お話しした通り、提案ではお得意先がどんな問題や課題を抱えているかを分析してレポートする必要があります。

この時問題となるのは自社のライバル社も含めたデータを分析する必要がある、ということに気付いていない会社が多いことです。

例えば、「アイスクリーム売場の問題・課題」を分析するときに、自社の商品の販売動向だけレポートしてお得意先が納得するでしょうか?

「どの価格帯が問題なのか?」

「どんなタイプが売れていないのか?」

「どの店が売れていないのか?」

様々なお得意先の疑問に答える必要があります。自社の商品データだけでは説明できません。

できるようにするためにはライバル会社の商品も含めて、分析対象となる商品全てについて「商品分類マスター」を常に最新の状態で持ち続ける必要があります。

少し専門的な話しになりますが、「アイスクリーム全体」を「棒付き」と「カップ」と「その他」に分ける。「棒付き」を「バニラ」「チョコ」「その他」に分ける。こうしてブレイクダウンしていくのが分析です。その時には自社もライバルも関係ありません。お得意先の問題・課題を発見するのが目的ですから。

その際、売場に並んでいる商品の分類をするのは誰でしょうか?

多くの場合、営業セールスが夜中までかかってやることになります。そしてまたお得意先に行けなくなる原因が発生です。

これを解決するには営業サポートを専門にするチームを作り、そこでこうした商品マスター整備をやってあげたり、データ集計からレポート作成をしてあげるようにすることです。

このサポート体制も作らずに提案営業をしようとしても、営業の皆様が疲弊するだけで実現はしません。

提案営業を導入する覚悟

結論です。

・提案営業は、三方よしの精神なしでは実現しません

・提案営業は、必要なものを揃えないと実現しません

・提案営業は、実現までに時間が必要です

「ヒト(サポート)」「モノ(ツール)」「カネ(予算)」「データ(購買者接点データ)」をしっかりと揃えないかぎり提案営業は実現できません。

「聞くセールス」になることが「提案営業」ではないことをご理解いただきたいと思います。

「購買者接点を見える形にして三方良しを実現する」のが提案営業です。

 

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