職場へのコーチング導入は要注意

部下はコーチングを望んでいない

ここ数年、企業の管理職のスキルとして

”コーチング”が注目度を上げて来ています。

「コーチングはコミュニケーション技術」です

「コーチングは必ず良い成果を出します」

これは自分の経験から断言できますし、保証します。

ただし!ただし!

職場への導入は慎重に行わなくてはいけません。

syokuba

部下はコーチング知らない。望んでもいない

まず

コーチングスキルを習得するには一定時間の実践が必要です。

ちょっと研修で”傾聴”とか”質問”とかが大事だと

教わっただけでできるようになる技術ではありません。

でも

実際にはすぐに職場で”コーチングセッション”が始まってしまいます。

全く”コーチングの意味”を理解していない部下が

上司から

「コーチングセッションやろう」

と言われて30分以上時間を奪われることになります。

コーチングが機能する原則

コーチングが機能する大原則があります

コーチングを受ける側の人(クライアントと呼びます)が

「1.コーチングを活用して実現したいことがある」

「2.コーチを付けたいと思っている」

「3.コーチングを理解している」

コーチングの意味も知らなければ

期待もしていない部下の人達からしたら

毎月1~2回上司から一対一で30分以上

よくわからない質問攻撃を受けることになります

絶対にうまくいきません

 

忙しい仕事が余計に忙しくなるだけですから

部下にとっては恐怖の時間となり

逆にコーチングが職場の空気を悪くしたり

上司と部下の関係を悪くします

 

上司もなぜそうなるか理解できず悩み

やがて職場からコーチングは消えてなくなります

「望まれていないコーチングは害をもたらします」

未熟なコーチングが部下をダメにする

先程も少し触れましたが

コーチングは技術です

技術は訓練によって上達していくものです

ちゃんと訓練を積んでいない人が

”できるつもり”

になってやると相手も自分も怪我をします

 

経験がない歯医者さんから

「歯を抜きましょう」

と言われても

「お願いします」

とはならないですよね

 

例えばコーチングの技術のひとつに

「質問」

というのがありますが

コーチングにおける「質問」

その目的が日常会話とは全く違います

上司がコーチで

部下がクライアント(コーチングを受ける人)だとすると

「部下のために質問をする」

のがコーチングにおける「質問」です

日常的な会話での「質問」

「知りたい人が知るために質問をする」

のです

「誰」のために「質問」が存在するか?

ここがコーチングと日常会話では真逆になります

 

本気でコーチングを教えている機関で

本気で学ばないと

コーチングの根幹である

「質問」が正しく身につかないのです

 

ちょっとした管理職研修の数時間のパートで学んだだけで

こんなことを理解できるはずはないのです

こうした未熟なコーチが

コーチングを理解していない部下をコーチするのですから

最悪の事態が起きます。

「コーチが自分の答えに誘導する」

つまり

上司が部下を無理やり自分の頭のなかにある

イメージ通りの方向に進ませようと

あの手この手で誘導してしまうという状態になります。

部下にとっては、ますます

「居心地が悪い職場になります。」

「朝、行きたくない職場になります。」

コーチングを職場に導入するのであれば

十分な実践を積んで少なくても

”プロフェッショナルコーチ”

の認定を受けてからにしないと

部下が迷惑します。

 

ただ

そんな時間もないし

実践する相手も場所も無いでしょう

 

もう一回お伝えしますが

「正しいコーチングは100%効果を発揮します」

では

職場にどうやってコーチングを

導入すれば良いのでしょうか?

コーチングの要素をバラして導入する

未熟なコーチが

30分以上のコーチングセッションを

有効に実施することは不可能です

ですから

いきなりコーチングセッションを

職場で実施することは絶対に止めるべきです

 

ではどうするか?

 

「コーチングの要素を1つずつ職場に取り入れる」

のが一番安全で効果的な導入方法です。

今回はひとつだけ

「やり方」をお伝えしますが

今後いろいろな「やり方」をお伝えしていきます

挨拶でコーチングする

今日ご紹介するコーチングは

「挨拶」

です

部下が朝、出社してきたら

「1.部下の席まで歩いて行く」

「2.笑顔を作る」

「3.部下の目をしっかりと見る」

「4.◯◯さん、おはようございます」と必ず名前を呼んで挨拶する

「5.何かひとこと話しかける」(返事は期待しない)

「6.今日もよろしくね」で締めくくる

時間にして1分以内だと思います

「ひとこと話しかける」時も

難しい事は聞かないで下さい

「体調はどう」

ぐらいですね

答えに困っていいそうだったら

すぐに

「大丈夫、答えなくても」

と言ってあげて下さい。

 

この

「朝の挨拶でコーチング」

の効果は

「承認」「関係構築」

の2つとなります

難しい解説は避けますが

人は帰属欲求と貢献欲求を持っています

上司から

朝、自分の席まで来て

名前を呼んでもらただけで

部下は

「自分はこの職場の一員として認められている」

「上司は自分に期待をしてくれている」

と感じます

これだけで部下は

”安心”

して仕事を始めることが出来ます

そして何かあれば躊躇すること無く

上司に相談にいける関係になっていきます

 

これも立派なコーチングです

部下はこの

”挨拶”

がコーチングであることを全く知らないでしょう

それでいいんです

まずは

上司がコーチングの技術の中で

「使えそうな要素」

を見極めて

ひとつずつ実行していくのがポイントです

(例)話す時はお互いに立つか、お互いに座って話す

(例)部下の話しを聞く時は他の事は絶対にしない

(例)話している部下の方に体を向ける

これぐらい細かい要素まで分解して

出来そうなことから実行して下さい

3週間続けると習慣化してきます

その後きっと部下の言動に良い変化が生まれます

コーチングが目指す

「行動変容」

ですね

何も無理やり部下を30分拘束しなくても

コーチングを機能させることは可能です

 

繰り返します。

職場でコーチングを実践したければ

小さく細分化した

コーチングの要素を

ひとつずつ実践してください

 

今後も

職場へのコーチング導入の

コツをお伝えしていきたいと思います。

 

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